4月~9月にかけて発表された論文の裏話-その③

Comparative evaluation of fibrous artificial carbons and bamboo charcoal in terms of recovery of current from sewage wastewater

Wataru Nagahashi, Naoko Yoshida

The Journal of General and Applied Microbiology , In press.

春に学部で卒業した長橋君の卒論内容で、MFCのアノードをいろいろ比較検討評価したものです. 今の4年生のアノードの選定に繋がっています. スタートが遅くなり秋頃から頑張りましたが、卒論発表後に急いで論文にまとめるときは、孤独にたえ辛抱強く投稿準備につきあってくれました. 長橋君が卒論を投稿論文の形にできたことで、今年から学部生も院生も論文投稿するよう方針を固めることができました。卒論にもかなりオリジナリティーある考察が展開されていたり、考察するということに挑んでくれたこと自体が新鮮で、研究好きなんだろうなと感じました. 率直に意見してくれるので、いろいろ勉強になり楽しかったです. もっと早くから興味が引き出せるようなテーマを設定できてたら、もっと一緒に研究できていたかな?と後悔もありますが、どこにいかれても活躍されることと信じています. 

4月~9月にかけて発表された論文の裏話-その➁

Michaelis–Menten equation considering flow velocity reveals how microbial fuel cell fluid design affects electricity recovery from sewage wastewater

KenFujii, NaokoYoshida, KoheiMiyazaki

Bioelectrochemistry 140, 107821

春に大学院を修了した藤井君が修論発表会の前に投稿し、修論発表後にMajor revisionでかえってきて修了式後も追実験をして3月末まで対応し、社会人になってから受理された思いで深い論文です. 4年で卒業した宮崎君がMFCの電流に流速がかなり影響することを示してくれ、引き継いだ藤井君が+3年かけて論文になりました. 私が物理に疎くソフトに弱いものだから藤井君は自力でかなり頑張る必要があり苦労したと思います. 投稿後、結果が送られてくるのが怖くてメールが見れません・・・といっていた白い顔が忘れられません. 投稿準備しているときに追実験を要求される可能性あるから実験しとかなあかんなーといいながらほかっていたら、案の定修了式後に実験をやる羽目になり、嫌な予感は必ず当たるから準備しとくに限る!と改めて思わされました. 社会に出た後の肥しになっているといいな. ゆらゆらと凹みながらも根を張ってしぶとく頑張れるこを知っているので、心配してませんが。国際会議の口頭発表に挑んだり、中国で揚げた芋虫食べたたり、ここにかけない諸々だったり、いろいろ楽しかったですね. これからも無謀にいろいろと挑んでいってくれることと思います.

4月~9月にかけて発表された論文の裏話-その①

Estimation of total energy requirement for sewage treatment by a microbial fuel cell with a one-meter air-cathode assuming Michaelis–Menten COD degradation

Taiki Yamane , Naoko Yoshida and Mari Sugioka, RSC Advances, 2021, 11, 20036 – 20045

4月に現M2の山根君が就職活動中に投稿し受理されました.この論文は微生物燃料電池の有機物分解速度から電力と処理を予測計算しエネルギー試算につなげる方法論を実験データとともに示したものです. M1の夏には出そうと準備しましたが、はじめの投稿でEditorリジェクトされ次に投稿した雑誌では2名の査読でOKになったところで、Editorがでてきて注文が付き、さらに4人目の査読者がついて没になるという大変な経験をしました.就活が始まる前に終わるはずがタイミングが重なり、両立が大変だったと思います.ジャーナル?エディター?に翻弄されつつ、3つ目の雑誌に投稿したところ、高く評価してくれMinor revisionで修正の後、受理されました. モデル化の仕事は計算し改善につなげる意味でとても重要と思いますが、新事実の発見!のような分かりやすい新規性がないため、評価され辛いようです. 

投稿する段階で終わった仕事であり、自分達が行ったことの価値は変わらないと言い聞かせていますが、リジェクトは辛く苦いものです.そして必ず新しい成長をくれます. 嫌な思い出をモチベにかえて次の飛躍につなげれば良い思い出に変えられます. 若い学生の皆さんにとって、今は苦い日々でしかないかもしれませんが, 実は挑むことができる人しか経験できない財産でもあったりします. 何であれ味わった経験を肥しにかえていってください.