研究テーマ

本研究室が目指すもの

私たちの研究室では、特に水環境に生息する微生物を用いた環境浄化研究に取り組んでいます(図1)。地球には、炭素重量換算で地球上のバイオマスの17%を占める微生物が存在します。これは植物バイオマスの1/5、動物バイオマスの約47倍、人間の千倍以上の量にあたります。微生物の代謝は多様で、多様な物質を酸化分解するだけでなく、還元、大気中の二酸化炭素や窒素から有機物等を合成(固定)することもできます。現在の地球と生物は、約40憶年という悠久の時間の中で培われた過渡的な平衡バランスの間に形成されており不変ではありません。近年では産業革命以降の急減な人為活動により地球温暖化に代表される様々な環境問題が顕在化し、人類が住み良い環境を恒常的に保つことが難しくなりつつあります。私たちは、都市の水環境(都市から排出され湾等を通じ外洋に至るまで)を恒常的且つ健全な状態に保全・制御することを目指しています。

  

研究アプローチ

 Think globally, act locallyをキーフレーズに、問題を地球規模で大きくとらえる一方、研究テーマとしては具体的な技術課題の解決に取り組むよう心掛けています。本研究室では、特に嫌気環境で生育する微生物を用いた環境浄化技術の確立を目指しています(図2)。地球には酸素のない環境を好んで生きる微生物が数多く存在しています。私たち人間は、炭水化物を二酸化炭素へ酸化する過程で放出した電子を酸素に受け渡し水に還元する呼吸により生きています。無酸素環境では、微生物が酸素に代わる電子の受容体として多様な物質を用いており、この微生物代謝はバイオガス発電等の様々な環境バイオテクノロジーを生み出しています。私たちの研究室では、特に、①酸素に代わって電極へと電子を回収する微生物燃料電池を用いた廃水処理のエネルギー自立化、そして、②酸素のかわりに有機ハロゲンを用いて呼吸する微生物による地下水浄化研究に取り組んでいます。