【卒論は実質選択科目であり卒論指導はサービス】
本研究室を立ち上げ5年になり、紆余曲折を経て、今現在のスタンスは「研究するもしないも学生が選べばいい」というものです. うちの研究室には学生の数以上にスタッフがおり、実験の手ほどきはスタッフが行います.学生がすべてのデータをだすことにはこだわっておらず、特にはスタッフや時には民間サービスを活用してデータを取得します. 学生には、研究を計画し・周囲との調整・依頼し研究を進め、データを学術論文としてふさわしい状態にまとめ上げ発表することを求めており、社会に出ても困らない即戦力を養うことに重きを置いています. そこまで望まないという学生にはセミナーでコメントするにとどめます.
【国際投稿論文発表】
本研究室では国際投稿論文の発表にこだわっています. 卒論・修論は形骸化しつつあり、学術雑誌に投稿し専門家から審査されることが研究の質を維持するのに重要です.日本の人口は将来6千万まで減る一方、世界人口は100億人まで増えると予測されます.同じ研究成果でも読み手が多い分だけ成果が誰かの研究につながる機会が増えることは(たとえ大河の一滴であっても)重要と考えます.
【卒論は短く、しかし査読に耐えうるものに】
2021年度より卒論本編を20p以内とし、しかし査読に耐えうる内容に仕上げる方針にしています.素稿は本人が日本語で書きますが、院生・教員・スタッフで輪読しコメントをいれ修正し仕上げていきます. 仕上がり次第、英語に翻訳し国際論文投稿に備えます.
【プレゼンより文章】
人前で流暢に話すことは、発表をこなせば勝手できるようになるので重要視してません.話の構成がつくれるか、論理的な文章がかけるか、そのために必要な情報を適切に収集でき, 結果を客観的に考察できることを重要視しています.卒論にしっかりと取り組むことは, この基礎能力を身に付けるのにとても役立ちます.
【修士に求めること】
卒論生は手厚く指導されますが、修士では主体性にまかせ、研究室運営にも参加してもらいます.研究を深め査読に耐えうる内容に仕上げるとともに、社会に出ても適応できるよう、マルチタスクをこなす力、チームに貢献する力を、後輩指導や研究室運営を通じて養います.修士論文は修了までに準備または投稿した国際投稿論文に捕捉をくわえたものとし、英語で書くことを薦めています(必須ではありません).修士では教員がうるさく指示しないので楽することもできます. 社会でも同様と思いますが、楽できる環境でも自主的にモチベーションを維持できるかどうかが試されます.