MFC部分曝気が窒素除去に与える影響評価論文の裏話

Taiki Yamane, Naoko Yoshida, and Mari Sugioka

Simultaneous removal of organic matter and nitrogen compounds by partitioned aeration in a 226 L-scale microbial fuel cell

RSC Advances, 2022, 12, 15091 – 15097

3月に修士課程を修了された山根君と昨年3月に修了した杉岡さんが取り組んでくれたMFCの部分曝気が窒素除去に与える効果を調べた論文が発表されました. 我々のMFCはイオン交換膜を用いているためアンモニア態窒素が残るため10%容積を部分曝気することで窒素除去を試みました.曝気部分いれたスポンジ担体が沈むのを防ぐ最低の曝気量で運転維持しましたが、結果を既往文献との比較して考察すると、曝気量の設定は窒素除去に対して過大で無駄にエネルギーを消費していたと、論文執筆の段階で気づきました. 「長い時間と労力をつかって実験をするのだから、文献調査に時間を割いて練った実験デザインで挑むべき」いつも言い聞かせていることですが、その大切さに改めて気づかされました.この経験は、3月に卒業した清水さんのMFC電力の二次利用試験、そしてB4の光岡君の、まだ誰も成し遂げていないチャレンジにつながっています. 

水環境微生物工学研究室が参画した研究が令和3年度土木学会環境賞を受賞しました

土木学会環境賞(Ⅰグループ)は環境の保全・改善・創造に資する新技術開発・概念形成・理論構築等に貢献した先進的な土木工学的研究に授与されるものです.

研究課題名:「土壌・地下水汚染浄化の省CO2を達成する加温式原位置高速バイオ浄化技術の開発」

受賞主体:(株)竹中工務店、(株)竹中土木、横浜国立大学、岡山大学、名古屋工業大学

https://committees.jsce.or.jp/kankyo_sho/system/files/%E2%85%A0-3.pdf

水環境微生物工学研究室は、本課題において地下水浄化の生物触媒となるDehalococcoides mccartyi NIT01株の培養と提供を行いました.

The 2nd meeting on the joint project hosted by NSFC and JSPS

名大片山研&ハルビン工科大Li研とのjoint seminarを開催しました.オーガナイザーを務めてくれた孟さん、大変お疲れ様でした.COVID-19感染状況が落ち着いたら互いに行き来する研究を再開したいですね. セミナーは非常にレベル高く、聴講した学生にとって良い刺激になっていると嬉しいです.ハルビン工科大のアクティビティーとスピードに圧倒されるとともに、片山研の土壌粒子があるとなぜか脱塩素化が進みやすくなる謎をphD学生が何代にわたって突き詰めていく話に、片山先生が私がポスドクの時と変わらない情熱で研究者として在られることに胸が熱くなりました. 弟子として恥ずかしくないよう情熱を枯らさず研究に注力したいです. 

2021年度修了生・卒業生を見送りました

2021年度は修了生2名と学部卒業生2名を研究室から見送りました. 
卒業式・修了式のあと, 後輩たちが選んだ贈り物を贈るセレモニーをひらいてくれました.食事会では学生同士が互いを想い合い涙する姿に, 研究を通じて学生同士が人を育む力を認識しました.
 森田君と山根君は本研究室で2期目の修士修了生になりました.1期修了生が二人とも公務員であったため民間に就職した先輩がいない不安の中, 手探りで就職活動をし, 無事に第一希望の就職先に就職されました. 就職という人生で大切な岐路を選択する中, 将来に直接関係のない研究に注力することに意義を見出せなかった時期もあったでしょうし, 研究で成果が出始めた頃には残る時間が足りず焦燥感で自分を消耗した時期もあったと思います. どうぞ自分が大切と決めたことで、望んだ結果を残せたことに自信をもってください. 研究で成し遂げたことと叶わなかったこと, どちらも, 誰にも奪えない自分だけの財産として, この先を進んでください.
 5期目の卒業生の清水さんと石徹白くんは, じゃけんで負けて研究室に配属されたネガティブなスタートでしたが, 持ち前の陽気なのか負けん気なのか責任感なのか, ほんとうによくやってくれました. だんだん研究にノッテくる姿は見ていて楽しかったし研究室を明るく活気づけてくれました. 若く眩しく向こう見ず. 失敗した先に得るものがあることを体感できた20代に怖いものはありません. ここで道は分かれますが, また研究室に遊びに来て, その成長する姿を見せてください. 
 皆さんの仕事は後輩に引き継がれます.そして, かつての君達のように世界のどこかでキーワードを頼りに右往左往して論文を探している学生や研究者に引き継がれます.まだ会ったことのない未来の仲間に代わって,ここにお礼をいいます.ご苦労様でした.ありがとう.

2022年3月27日 吉田奈央子

微生物燃料電池のセパレータ膜評価論文発表

Itoshiro, Ryoya, Naoko Yoshida, Toshiyuki Yagi, Yuriko Kakihana, and Mitsuru Higa. 2022. “Effect of Ion Selectivity on Current Production in Sewage Microbial Fuel Cell Separators” Membranes 12, no. 2: 183. https://doi.org/10.3390/membranes12020183

B4の石徹白君が、同級生の田中君や清水さん、スタッフの八木さんたちとともに微生物燃料電池(MFC)リアクターを運転し、膜のイオン選択性がMFCの電流生産に与える影響を評価しました.膜のイオン移動抵抗測定は、山口大学の比嘉研究室に行って頂きました. じゃんけんで負けて入った研究室でありながら、興味をもってよくやってくれました. 携帯でメモをとるイマドキの若者との共同研究は私にとって初めての体験で戸惑いもありましたが、イマドキだから?誰よりもメールのレスポンスが早く、期日を示せば確実に宿題に応えてくる対応力がスピーディーな成果発表につながりました.「論文投稿に取り組んでみる?」と聞いたときに「やってみたいです」と即答された時には、状況をよく理解してないな・・・と思いましたが、壁の高さを測る前に登る若者らしさは、今後も石徹白君に成長をもたらしてくれると思います. 特集号への寄稿のための〆切に間に合うよう急いたり、査読への返答&追実験にも、バイト&長距離通学の中、粘り強く対応しました. お疲れさまでした・・・まだ卒論発表ありますね・・・